大声

【廣瀬孝一の一心不乱 ~高校生時代から会社員時代~】

私が高校2年の時、大阪から京都の大学に通学していた2歳上の兄が、身体を壊して入院した。そして、退院後に兄は、京都での下宿生活を始めた。

私は無条件に、そして誰からも強制されることなく、大学から就職へ、自然と舵を切った。

私は高校2年生の秋から、スーパーのテナントで入っている魚屋さんでバイトを始めた。

最初は、皆さんがよく目にするトレーのラップ掛けからの仕事と、お客様からの要望で2枚おろしやお刺身などの調理が済んだ際の、お客様の呼び出しである。

「お客さ~ん!サバの2枚おろしできましたよ~!」

辺りを見渡してもいない。何度呼んでも来ない。おろおろです。

大阪の事ですから、頼んだお客様はその場にいないのである。

皆さんは、大阪の人にどんなイメージをお持ちでしょうか?

その抱いたイメージは、ほぼあたりに違いありません。

そして、この場合「待ってる間に買い物しとこ。出来たら呼ぶやろ」という感覚です。

 

呆然と立ち尽くす私を見た店長から、「何してんのん?」

私「お客さんを呼んでも来ないし、どこに行ったかも分かりません。」

店長「もう1回呼んでみー。」

私「お客さ~ん、サバの2枚おろし出来ましたよ~」

店長「そんなん聞こえん!」

「お客さ~ん、サバの2枚おろし出来ましたよ~」

お客様がようやく歩いていらして「ありがとう!」

 

私は声を出せていなくて、私の声が届かなかったんですね。

その事に気付いた私は、大声を張り上げる挑戦をし始めました。

 

初日の夕方には、

「お客さ~ん、調理できました!」

我ながら見事な大声でした。

 

それを、偶然見ていた店長は、「廣瀬君、怒ってんのか?」

 

色んなものが吹っ切れていく、魚屋さんのバイト奮闘記。初日は羞恥心からでした。

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