うなぎ

【廣瀬孝一の一心不乱 ~高校生時代から会社員時代~】

私は、高校2年生の秋、大阪府八尾市のスーパーにテナントで入居する魚屋さんでバイトを始め、最初の給料日がきました。

土日だけのバイトだったので、毎月20,000~25,000万円のバイト代です。

最初は、半端な金額だったと記憶していますが、嬉しくて嬉しくて、うなぎ2尾入りを買って帰りました。

実は、それまで私は、うなぎを食べた記憶が全くありません。

魚屋さんのバックで、職人さんがうなぎを焼き、タレを付けてまた焼き、更にタレを付けてまた焼くもんですから、香ばしい香りに、いつもノックダウン状態でした。

「店長、私うなぎ食べたことないんで、買って帰っていいですか?」尋ねました。

私は、値引きしてもらうつもりはなく、「私もここで買い物することが可能ですか?」という意味で尋ねただけなんです。

店長は、そうか!と言って、店頭に並んでいるうなぎ1尾入りの特大サイズ2パックをバックに持って入り、ラップを破き始めました。

通常は、うなぎ標準サイズを2尾入りで販売しているんですが、特大サイズを無理やり標準サイズ2尾入りのトレーに入れ替えた上に、標準サイズ2尾入りのプライスを貼るではありませんか。

「店長いいんですか?」と私は驚きの表情で尋ねましたら、店長は「おう!」と言って、“100円引き”のシールを張ってくれました。

 

喜んでレジに入ると、レジ係の人がうなぎを見るなり、

「あんた!店長知ってんのか!?」

 

その頃には、レジの方も顔見知りになっていたんですが、親しい間柄になっていなかった事も手伝い、変な方向に勘違いされたみたいです。

もちろん私は、「今日は私の初給料日で、家に買って帰っていいですかと店長に尋ねたら、店長がこのようにやってくれたんです。」と、説明しました。

 

レジ係の人は、一呼吸置いた後、「良かったなぁ」と笑顔で清算してくれました。

 

家族で食べたうなぎは、ホントに美味しく、私の給料日はうなぎのかば焼きが定番になりました。

 

店長が、嬉しい計らいをしてくれたのは、それ1回限りでした。

なぜなら、給料日には必ず、私が勝手に特大うなぎ2尾をパック詰めして、「店長お願いします!」と催促し始めたんです。

2回目以降は、特大うなぎ2尾の通常価格に“100円引き”シールのみになりました。

 

「こいつ、かなわんなぁ」と思われたんでしょうね。

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